[コメント] オールナイトロング(1992/日)
映画を見終った人むけのレビューです。
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凶行事件にたまたま居合わせて知り合った無職のボンボン、活発な定時制生徒と地味な予備校生の三人。湾岸で犬焼き殺している仕方のないヤンキーたちから、デートしていた定時制生徒が暴行され、復讐にヤンキーのアジトへ乗り込んで殺し合いいろいろあって意外にも復讐に最も消極的だった地味な受験生だけが生き残った、という本筋。
彼の生き残りは作劇の常道で別に意外でもなく、暴力描写は評判のような陰惨なものでもなく平凡(再編集がなされていたのかも知れないが)、敵役のヤンキー側の生態が殆ど知らされないので物語にもコクがない。
面白いのは脇役で、地味な予備校生家富洋二に女の子紹介する田口浩正がケッサク。モテるご面相とはとても思えないのに女の子を大量にストックしていて、人前でゾンザイに対応しても彼女らは(ゾンザイな故に、というニュアンスで)付いていく。こういう奇怪な人物っているもので、永遠の謎だと思わされる(無論、金持ちなのだろう)。
若山幸子も面白い。無職のボンボン角田英介にナンパされて車中でいきなりチンチン掴み、待ち合わせ場所の工場の金網に彼を半裸のまま手錠かけて唾引っかけて去るのだった(角田がどうやって手錠外して逃れたのか描写が欠けていて謎が残るが、あえてそうしたのだろう)。この二人を主役で一本観たかったところ。
庶民の暴力は89年に『その男、凶暴につき』が先行するのだから、特段のオリジナリティはないし、演出力は完敗。ただ、東京湾岸の工業地帯とモノレール、低空飛行のジェット機などの活写は利いている。1982年発生の「歌舞伎町少女アキレス腱切断殺人事件」というマイナーな事件が基になっている由。
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