[コメント] メトロポリス(2001/日)
「何でも鑑定団」の面々が喜びそうな手塚治虫像、と言えばいいのか。しかしそのひと昔前の質感を再現することが、そんなに大切なことなのだろうか。原作にしろ発想の源となったラングの『メトロポリス』にしろ、時代に向き合った時に生まれる「熱」が確かに存在しているにも関わらず、この作品にはそれが無い。最新の技術や発想が骨董価値の再現のために費やされているとしか思えない。
そんなレトロな意匠がマイナスに働いている典型として、地上世界と地下世界のコントラストの緩さがあるように思える。地下世界の時代が止まってしまったような世界観も、発想の許す限り先端を行く地上世界という描写があってこそコントラストが明確になるハズ。しかしその地上の未来世界までもが懐古調なのでは、到底作者の意図するコントラストなんて望めない。コントラストがあるとすれば、今の時代と作品世界の間のそれのみ。
設定や構図が少々古いのであって、意図が古いワケではないと思う。表向きのテーマが古く見えたとしても、それでも光を失ってない片鱗は見え隠れしているように思える。まずはそれを拾い上げ、どう効果的に光を与えられるか、たとえ原作の質感から逸脱したとしても(ラスト近くで大友克洋色が色濃くなったトコロで、むしろホッとしたくらいだ)、まずはそれから始めて欲しいものだ。
具体的な内容云々に関しては、皆様がこと細かに説明されていて、ほとんど書くことがなくなってしまったので、割愛させていただきマス。評価すべき点が無いワケでもないので、冷静に判断すれば3点位つけても良いのですが、心情的には依然として2点。よって間をとって[2.5]。
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