手塚ファン・大友ファンの自分にとってはこの上も無いほど魅力的な映画。

問題の仕上げ役、りんたろう監督だが、今回は彼の高い音楽センスが全面に出ており、細かく描かれた作品世界を一層効果的に盛り上げていて、とても良かった。確かに彼の演出はところどころ古臭い感じがあったりするが、音楽センスはかなり良い。特に“I can't stop loving you”のシーンはもはや日本アニメ史上に残る快挙と言っても過言では無いでしょう。

また、キャラクターデザインはもちろん、服装やロボットのデザイン、建造物のデザインなどすべてが手塚色たっぷりで、声優さんたちもそれぞれのキャラクターに素晴らしいほどマッチしていたことにも大満足。

それに、やはり愛すべき脇役・悪役が出てくるのは手塚作品に欠かせない要素ですね。『ナウシカ』のようにテーマを前面に出してはいないこの作品では、そういった随所にこめられたさまざまな想いを見る側が感じとっていくことで、一つのテーマにたどり着くことができるのではないでしょうか。

確かに映画として所々至らぬ点もあるが、それを乗り越えて素直に好きになれた映画。