[コメント] ホタル(2001/日)
映画を見終った人むけのレビューです。
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高倉健と田中裕子のすばらしいコンビがもったいなくて、哀しくなるほど、わざとらしいエピソード満載。
わたしだって、泣き崩れるおかあさん(奈良岡朋子)を走っていって抱きしめてあげたかったよ。 でも、あのセリフを言わせるシチュエーションや、タイミングというか、あの構成がどうにも我慢ならなかった。
以前、全く謎なキム・ソンジェといってしまったのは、敗戦も間際になって、ついに朝鮮人も徴兵されるようになったことを私が知らなかったから。 それも、皇軍となるということは、まさに、まさに、全く差別されることなく日本人として天皇に忠誠を誓えるということであると宣伝され、朝鮮人も戦争に駆り出されていった。 差別に苦しみ、おそらく一生会社づとめとは縁のない人生を生きていくことを余儀なくされる彼らにとって、軍隊とは、一筋の光だったかもしれなかった。 軍隊に入ればすぐ、そのようなことが、ただの幻想に過ぎないことを誰もが知ってしまうのだった。
そのような説明は、やはり必要なのではないかと思う。唐突に、キム・ソンジェが登場したのでは、面食らうばかりだ。 それに、彼は、貧乏な感じでもないし、この設定自体が、中途半端だ。 結局、そのことを説明しないままだったから、「天皇のためじゃない、家族のために死ぬんだ」といって散っていくことにフォーカスするしかない。 確かに、あのころ、なぜ国のため、天皇のために死ぬのか、動員された学生達は、どうしても納得がいかなかったと思う。でも、抜け出られない現実の前に、せめて、家族のために闘うんだと自分をやっとの思いで納得させて、死んでいくしかなかった。
あちらこちらに(誰に向かって発しているかをあいまいにした)非難めいた言葉をちりばめながらも、誰が何に対して怒らなければならないのか、若い私達が何を見なければならないのか、核心だけは上手にぼかして仕上げてる、大手新聞得意のやり方。 日の丸・君が代の強制についてどうこういっているのではない、斉唱や、起立をしなかったからといって”処分”するのは、やりすぎだといっているのだと、社説に書いてあって、苦笑したけれど、こういう態度がなんだかにじみ出ているなと、付け加えたい。
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