同じ谷崎原作でも失敗作『卍』とは一線を画す出来映え。むしろ『清作の妻』『赤い天使』『盲獣』に次いで語られるべき激愛路線の秀作と見た。

新藤兼人の脚色・併せ技は後人が谷崎やそのライバル乱歩を映画化する際の常套手段として定着している。

僕が気になったのは、若尾さんのお腹よりも長谷川明男演じる新助の魅力が不明瞭な点。確かに優しさは出ていたけどあの低い鼻じゃ駄目です。色気がない。『卒業』のダスティン・ホフマンが出していたフェロモンを見習って欲しいね。