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[コメント] 追憶(1973/米)

改めて考えると、やっぱりストライサンドが強烈すぎて、音楽とストライサンドの濃さばかり思い出してしまいます。
甘崎庵

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







 第二次世界大戦から赤狩りに至る時代を背景に、十数年に渡る男と女を描いた作品。一応形式としてはロマンスものになるのだろうけど、決してベタベタしたものにはせず、むしろ70年代のウーマン・リブを追い風に、女性の自立を描こうとした企画に見える。実際自立した女性を描くのだったら、ストライサンドかジェーン=フォンダを出すのが常套だが、ここでのストライサンドは気負いがありすぎたか、ちょっと強烈になり過ぎ。はっきり言って濃すぎてかなりげんなりしてしまう。一方、レッドフォードは『明日に向かって撃て』(1969)や同年の『スティング』(1973)の野性味溢れた姿とは全く異なり、非常に洗練された物腰が際だってる。多分本作はストライサンドを目立たせるつもりで、レッドフォードをおとなしめにしたんだろうけど、それが全く逆にレッドフォードの方を目立たせてしまったのは皮肉と言うべきか。

 強い女性というのはどんな時代にもいたのだろうが、それがちゃんと出せるようになってきた時代が来たのだろう。これまでの映画はあくまで主導は男の方で、女性はそれに振り回されている作品ばかりだったが、この時代辺りから、今度は逆に女性が主導で男の方が振り回される作品も数多く作られるようになってきた。その意味では本作は近代ラブロマンスの嚆矢であり、画期的な作品であった訳だ。

(評価:★3)

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