[コメント] 銀馬将軍は来なかった(1991/韓国)
自然に恵まれ外敵に蹂躙されたことがない村、蒙古人襲来のときは銀馬将軍が助けてくれた。村の女性がGIにレイプされ「今までこんなことはなかった」とうろたえる長老、「ここで勝手な商売はさせん」と恫喝する村の年寄り達。日本の話かと思たよ。
これは傑作女性映画です。
たった一度の不運のために村八分にされてしまう。本当なら酷い目にあったのだから優しくされてしかるべきなのに。まともな対応をしてくれたのは娼婦達だけで、子供を養うために必然的にそういう商売をすることになってしまう。この過程の描写が異様に説得力があった。
村の年寄りは娼婦達に偉そうな態度を取ってくるが、彼らとて所詮はGIに銃を突きつけられたら何もできない存在だ。子供は敏感だからそんなことも見抜いている。彼らは知っていた、銀馬将軍なんか来ないことを。
初めて対する異国の軍隊の前に何もできない年寄り達とは対照的に、子供や娼婦は彼らと交わっていくのは象徴的だった。
こういう図式に、韓国人同士の対立、女性同士の対立、子供同士の対立が重ねあわされ、抑圧される集団がその内部にも抑圧されるものを作り出すという複雑な構造が見事に提示された。
似たような話は日本にもあったと思う。そんな想像力を与えてくれたこの映画に感謝したい。
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