[コメント] 大河の一滴(2001/日)
映画を見終った人むけのレビューです。
これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。
と、OPのクレジットを見ながら(アタマの中で)呟く。(原作未読。)
安田成美(の役)はアホ女だなぁ。渡部篤郎はいつも変わらないなぁ。セルゲイ・ナカリャコフのトランペットはさすがに聴かせるなぁ(もっと聴かせてくれ)。三國連太郎の大往生観るのこれで何度目かなぁ。倍賞美津子の拗ねた演技は妙だなぁ。南野陽子のナルシスト(役の)演技は地なのかなぁ。
とか、つまらないことばかり考えた。でもそれなりに退屈しないで観ていられるのは、とにかくちゃんと出来た映画ではあるから。ちゃんと出来た映画なら何かしら見るべきものはある。というか、わたしは基本的に映画ならなんでもいい。映画ならば何か映ってる。何か得るものはある。手慣れた風な新藤兼人の脚本がよかったのかもしれないし、加古隆の適度にドラマチックな楽曲がよかったのかもしれない。
やたらにデカイ仏壇は、「生と死」のテーマをアピールしているのだろうか(あの程度の仏壇なら田舎にいけば結構あるかもしれないが)。やたらに「愛」を語るのは日本人らしくないようにも聞こえた(とは言っても今更日本人らしいウェットな人情劇なんてやっても誰も観に来やしないだろうが)。大河の一滴が最期に漂着する「海」、逆巻く波浪を映し出しているだけでも何となく見せるものがあった。ロシアがからんでくるシナリオは、結局物語りにとって何の為であったのか最後まで判然としなかった(*)。
*)大河の一滴(人ひとりの人生)が最期に大海に漂着するというような感性それ自体は、極めて俗流な日本人的虚無主義の変奏に過ぎないのではないか。ロシアというものを物語に取り込んでおきながら、その記憶と具体的な対話を生じさせようとしないシナリオは胡散臭いものと自分には思えた。
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