[コメント] COWBOY BEBOP 天国の扉(2001/日)
TV人気で映画に発展するのはよくある話。ドラマも「ケイゾク」「トリック」「ナースのお仕事」そしてあの「踊る大捜査線」も。 それらの評価が一様に辛いのは、TVという枠組みを出ることの過大なる期待というものが少なからず影響しているはず。それはファンなら余計そうかも知れない。
私は実はこの作品を観る前にTV版26話を一気に観た。魅力的なキャラクターたちと子どもに媚びない大人の匂いは、かつて観たルパン三世の第一話を髣髴とさせるものだった。確かに彼らは26話を通して成長し、彼らの生き様はそれだけの期間をかけてゆっくりと熟成される。2時間弱の尺でそれらを説明することは愚行であり、そういう意味では彼らの素性を一切無視し、ストーリー(というか事件)に内容を集約させたのは逆に正解だったように思える。
では映画化の必要はあったのか。TV版は十分に秀逸であり、時間の制約を逆手に取ったスピーディかつシンプルな物語をよくぞ30分弱のものに収められたと毎回感心させられた。が、TV版が既に完結していることもあり、あれを超えるものを作ることは酷であるともいえる。この作品はじっくり観たかったファンのためのものであり、一見さんお断りとまではいかなくとも一見さんが常連さんと席を共にするのはなかなか難しいだろう。そこで問題となるのが「映画としての出来はどうか」ということ。私が言うまでもなくこれが最大の視点であり、評価の対象である。観ている間中「映画として独立しているか」をいろいろ考えていた。そしていまさらながら気づいたのだがTV版があるからこそ比較されてしまうのであって、これはこれで結構楽しめるのだ。世にある映画では暗黙の了解があり、登場人物のバックボーンが説明されることは実はそうは多くない。TV版を観ていると余計楽しめることは確かだが、もしこの作品が楽しめたのなら逆にそれからTV版を観るのも一興。
残念ながらTV版を観ないと完結しないわけで・・・というのがマイナスポイント。
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