[コメント] ダーティファイター(1978/米)
散弾銃をぶっ放され逃げ惑う暴走族の場面などアクションにおいて被写体にカメラが寄り過ぎブレている(つまり何も映さず誤魔化している)部分があり、ソンドラ・ロックとの出会いにおける切返しと、警官を倒して雄叫びを上げ次に湖に浮かぶボートの能天気なロングショットを繋ぐ編集が際立つぐらいで、演出は中レベルといったところだが、とにかく脚本が面白すぎる。
酒場での喧嘩やオランウータンを馬鹿にされてカーチェイスをするシーンなどまるでホークスのように荒唐無稽。無意味だからこそキャラクターの言動が弾ける、映画が躍動する。悔しいことに猿とイーストウッドが同じ画面に収まっているだけで面白い。この企画を考えたやつの脳みそは一体どうなっているのだろうか。たまたま同じ日に『モンキー・ビジネス』と『トラック野郎』でも観たのか笑
以前にも引用したが「あらゆる<らしさ>、あらゆる意味づけを欠いた、全く有り得ないような荒唐無稽(中略)このような形で実践された<映画>は、音楽のように真の抽象芸術となる」(ヒッチコック×トリュフォー「映画術」より)
ともすれば辻褄を合わせることに必死になり根源的な面白さを忘れがちな現代映画は、この発言、ひいてはこの映画から学べるものがまだまだ沢山あると思う。『ダーティファイター』は支持すべき作品だ。
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