[コメント] メインテーマ(1984/日)
映画を見終った人むけのレビューです。
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「薬師丸ひろ子の映画で一番傑作だと思うんだけどなあ。誰も賛同しないけど」とコメントを残していたこの映画。 二十数年ぶりに再鑑賞したので改めてコメントしますね。
これねえ、薬師丸ひろ子「角川アイドル時代」後期の作品なわけです。当時薬師丸ひろ子ファンの私が言うんだから間違いない。そして森田芳光ファンの私が言いますけどね、当時、森田芳光作品ってことは意識してなかった。だって、まだ俺セブンティーンだったもーん。まだ映画ヲタじゃなかったもーん。
ただ、今にして思えばこの1984年は私の「出会いの年」だったようで、押井神が降臨した(要するに『ビューティフル・ドリーマー』が公開された)のがこの年だったし、「森田芳光は頭のオカシナ監督だ」と意識したのがこの映画だった。だって、財津和夫とか渡辺真知子とか太田裕美とか戸川純とかの歌手たちを並べておきながら(ひさうちみちおも含め真っ当な役者が脇にほとんどいない)、歌をうたうのは桃井かおりと薬師丸ひろ子というヒネクレぶり。それは高校生の俺でも分かったよ。ま、いずれも「うる星」好き、薬師丸ひろ子好きから派生した結果だったけどね。出会いって大切よね。結果、こうしたイケナイ大人になるわけさ。
で、どうでもいい話はこのくらいにして、21世紀の今日にこの映画を観てみると、「薬師丸ひろ子二十歳記念映画」というお題を、森田芳光は「彼女が大人になる物語」に置き換えたことがよく分かる。 結果、この映画は、「初夜の相手探し」の物語だったのです。
ラブホの前が尋常じゃない混雑で、謎の乱痴気騒ぎが繰り広げられますね。 多くの人が「キョトン?」とする場面ですが、これは“祝祭”なのです。言わば赤飯みたいなもんです。 なんてことでしょう。森田芳光は、人気絶頂のアイドル主演のバリバリアイドル映画で、うら若き女性の「夜のお相手探し」を描いたのです。とんでもない野心作です。
そう考えると「小笠原しぶき」という名前すらエロく思えてくる。
余談
じゃあ、なんでこの映画が好きかというと、一つは“四角関係”というちょっと複雑な男女関係で、大人と若者の恋物語を交差させながらそれぞれ描いているところ。 あと、台詞が粋なんだ。
「歌ってなかったら私じゃないわ。今頃タイプでも叩いてるとこよ。」 「オムツ替えてるところじゃなくて?」
これ、名台詞だと思うんだけどな。
(13.12.01 CSにて再鑑賞)
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