[コメント] リリイ・シュシュのすべて(2001/日)
あの頃の人間に対する恐怖感や「子供世界」の非道徳的な部分への恐怖感が蘇えってきて、なんともいえない気持ちになった。
何もかもに怯えていた時代。そんな空気が充分に伝わってきた。 自分の原風景というのか育った風景と同じだったので、「ありえた」という「リアル」みたいなものをすごい感じた。
平和な教室が、一変して恐怖の檻に変わる。誰しも経験した恐怖感ではないか。 去年までの友人が恐怖の存在へと変わる。恐怖までとは行かずにも、なぜだか話せなくなったり気まずくなったり。いじめという関係になったり。 暴力への恐怖。成長による力の差が生じ始め対抗することの勇気をそがれる。
「無邪気」って時代を通り越し「ドライ」な関係を「大人の関係」と勘違いしだす年なのかもしれない。それにともなう人間関係の複雑化を痛感する。 単純だったものが複雑になっていく。そして、けっして誰も助けてはくれない。最終的には自分でどうにかするしかない。その真実を体感した時の「孤独感」。
今までになく難解な岩井作品だったと思います。あの時代の空気感を作品にしたってことでこの点数にしました。心臓を掴まれたようなあのモヤモヤ感が蘇えった作品でした。
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