[コメント] ソードフィッシュ(2001/米)
映画を見終った人むけのレビューです。
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まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。
何人かのコメンテーター様が仰っている通り、僕も画面に登場しているガブリエルは整形手術をした偽者だと思います。そして冷凍保存されていたのが殺された本物のガブリエルなのでしょう。これ以外に答えがあるかもしれませんが、以下、この仮定を元にレビューしたいと思います。
この仮定が正しいとすると映画制作に置ける問題が発生します。それは遠い未来の整形手術では特定の人物とソックリにする技術が可能になるかもしれませんが、今現在では到底不可能と言う問題です。現実に即してない不可能な設定ならば、さも有り得るように世界観を創り込むのが脚本家の仕事。『フェイス/オフ』ならば整形手術シーンを挿入する事によって、この世界ではうりふたつの変身が可能だと観客に説明しています。ルパン三世シリーズならば、ルパンが変装する事により、この世界では変身可能な事が観客にも伝わります。これが映画におけるリアリズムなのです。
『狼たちの午後』や『ゴッドファーザー』が、その世界(歴史背景も含む)で有り得ない事を描いていますか?そんな事はありません。実際には有り得ない事も、可能性があるように描いているはずです。荒唐無稽の作品とは出鱈目で良いと言う事ではありません。ある種の約束事を作り、見せるのが本来ある荒唐無稽作品の姿なのです。極端に言えば、世界観を創らずに、うりふたつの整形が可能な筋書きでは、死人の生き返りも許容範囲になってしまい兼ねません。その他、コピー人間、人造人間、何でも有りでは観ている側も興醒めしてしまうのです。これでは仕掛けの面白さもヘッタクレもありません。そう言った意味で、ソードフィッシュでも現実に有り得ない整形手術などは、エピソードを途中で入れて世界観を確立するべきだったと思います。それでは仕掛けがバレバレになってつまらなくなると仰る方もおられると思いますが、僕はそうは思いません。それをバレないようにするのも脚本家の仕事。そして才能なのです。
その他、気になったのは、画面全体が緑っぽいフィルターをかけたような色使いになっている事(実際の技術はフィルターではないのでしょうけど)。ソードフィッシの制作:ジョエル・シルバーが創った『マトリックス』では、現実世界は総天然色、マトリックス世界は緑っぽい色使いにしています。これは現実の世界とマトリックスの世界を観客が見分けやすいようにしている為の演出なので上手い手法だと思いましたが、ソードフィッシュの場合は、フィルターをかけても意味が無いように思います。それならば総天然色で創った方が馴染みやすい作品になったかもしれません。まあ、これは個人的な好みの問題かもしれませんが・・・。
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