[コメント] 赤い橋の下のぬるい水(2001/日)
巨匠の晩年、役者のアップを否定する風景と画面から飛び出す水。
水をテーマとすることが、いずれのアーチストにとっても究極の芸術なのです。どの映画監督もこの水という普遍的テーマに立ち向かい、時には恍惚となり、そして真の芸術へと導かれる。今村作品がこのような形となって表現されたのはこれがはじめてのことでしょう。
水、それは女性であり生命の源。そしてこの根源的テーマを無駄なく今村流に表現できた作品でした。
今村らしさだけが象徴的に映し出されているようにも見えますが、それはドラマとして部分。非日常の積み重ねが最後に爆発する。怒り、暴力、そしてセックスとつながる物語はこれまでの今村作品と大きく変わりません。
しかし水というテーマを全面に持ち出し、役者の存在を過小評価して、その平凡な風景の中に映画の主体を置いたのはこれがはじめてではないでしょうか。
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