[コメント] 裏切り者(2000/米)
前半は、不況下の椅子取りゲームに喘ぎ、手を汚していく主人公達の必然を丁寧に描いていたのに、後半は、一転、企業と行政の癒着を糾弾しようとする。だが……
前半が“登場人物達の必要悪への傾倒”に持たせてしまった説得力は、甚大だった。その灰色に関する説得力を自ら覆し、白と黒を分け隔てようとする後半だが、その過程には、説得力のあるロジックを一つも見出せなかった。主人公の転向は単なる行き当たりばったりにしか見えず、周辺人物達は、筋の強引な展開のために、個々の文脈を欠いたアクション(いわゆるアクション映画のアクションではなく、脚本において登場人物をどう動かすか、ということ)を強要されるばかり。この展開こそ裏切りだ。映画自身がまったく蔑ろにしてしまったが、前半部の写実には本物を感じたので、大甘の三点。
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