[コメント] バニラ・スカイ(2001/米)
映画を見終った人むけのレビューです。
これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。
予備知識が全くなかったため、最初は恋愛がテーマの映画かと思ったが、後半になるに連れパニック状態に。
他の方々のレビューを読んでいると、トム・クルーズに不快感を覚えた方、ペネロペ・クルスがキャメロン・ディアスに役者の格でもかわいさでも負けている(ついでに訛りもひどい)と感じた方が多いようだが、それは確かにその通りかもしれない。
多分、この作品を作った人々の意図としては、かっこよくて金もありNYのセントラルパークに面したシャトーというアメリカで最高のロケーションに住み、スタイリッシュな職業を父から引き継いで何不自由なく暮らすトム・クルーズに観客は感情移入する→ついでにペネロペもエキゾチックでヨーロッパコンプレックスのアメリカ人にはたまらん ということで、激しく感情移入できるはず、というつもりだったのではないか。ついでに、キャメロン・ディアスをストーカー呼ばわりするトムに天罰が下されるというシチュエーションにも溜飲が下がるのであろう。
結局、『らいてふ』さんの時系列整理を呼んで、気がつかなかったこと(例えば、「Ellie」が実は「LE」であったことなど)についても知り大変ためになったが、この作品のメッセージというのはなんだかふにゃふにゃしていてつかみどころがない。
人間関係は大切にしましょう、ということなのか?
お金より愛が何より大切、ということなのか?
それとも、現実は空想より大切、ということなのだろうか。これは上にあげた二つと違って、ちょっと面白い発想だ。
というのも、現実というものの捉え方だって本人の主観なのだから。到底周囲の人間に理解できない行動を取るような人がいることがあるが、それはその人が周囲の人と異なった世の中の見え方をしているからに他ならない。
そして、他人がどう感じたとしても、顔をさかさまにしても顔に見えそうなジェイソン・リーがいみじくも言ったように、そいつの人生をどのように生きようとそいつの勝手なのだ。
ところが、後半の展開を見ていると、どうもトムは自責の念に駆られて贖罪をしたいと考えているかのようだ。だとすると、やはりトムはキャメロンに対する自分の行動が間違っていた、と考えるに至ったということなのだろうか。
しかし、何に対して?一晩に4発もやったのに心変わりしてしまったからなのだろうか?アメリカの離婚率は50%以上、夫婦の二組に一組は別れているというのに。だとすると、これも実はトムに感情移入できるポイントなのかもしれない。
思うに、この映画は断然トムが主役であって、キャメロンもペネロペもジェイソンもそれぞれに重要な役ではあるが、トム自身がアメリカの典型的な成功者であり、同時に自分の空虚な内面が原因で墜落していくという姿を描いていること自体に意味がある、と考えざるを得ない。
しかし、そう語るだけの迫力が当時のアメリカにはあったかもしれないが、今はどうだろうか。
(2002.8.26)
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