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[コメント] 殺し屋1(2001/日=香港=韓国)

暴力による「絶望」を求めた男のラブ・コメディってか?。浅野くんの力の抜けた狂気が異彩放つ。
ざいあす

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







「うまい、はやい、やすい」

映画は、「三池印」の娯楽作になっていた。原作の殺伐とした重さはなく、スピード感のある映像と濃い役者さんたちのおかげで別物に生まれ変わっていた。 血や内臓がぶちまけられるが、デフォルメがきついのでむしろ笑える。「吊るし」と「スライス」は『ザ・セル』を思い出した。

登場人物は同じ設定だが、それぞれ微妙にあるいは大胆に変えてあって面白い。一番は浅野クンの垣原で、金髪になってイイ男。来ている服もサイケでおしゃれ。最初の登場シーンこそ笑いのみでカリスマ不足が心配されたが、なかなかどうして彼の力の抜けた「アツくない演技」が、濃いキャラ達の中でも異彩を放っていた。特に垣原の右腕・高山役の人が巻き舌爆発の怒鳴りキャラだったので、その対比の妙が良かった。

ストーリーは、前半は原作をなぞって進んでいくが、後半はかなりアレンジ。つか、ところどころ長回しで急にスピードダウンする。キャラの肉付けや心理描写としてもかなり緩慢だし、イチなんて空手のトレーニングや幼少時のトラウマとか省いているから結果として中途半端になってしまった。前半に大笑いさせてくれた三光連合の会長や船木、鈴木たちの出番がなくなったのも残念。

さらにアクションシーンも相対的に少なくて、垣原との対決や、双子デカの凄みを見せるシーンが食い足りないかんじ。肝心のイチの「必殺かかと落とし」も足が振り下ろされた軌跡を寄った早回しで見せたりして、引きの絵でのアクションがない。もともと狙いだとは思うが、超人的な格闘シーンをリアルに観てみたい気もする。

役者の格のせいもあってか、イチよりも垣原が目立つ結果となったが、これで良かったと思う。垣原の回想シーンもあればもっと良かったのに。

最後で子供まで殺っちゃうとこは賛否両論だと思う。実際、見てても掟破りのとまどいを突きつけられたが、この監督、地球までふっとばしちゃう人だから、やっぱアリなんでしょう。

(評価:★4)

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このコメントを気に入った人達 (4 人)浅草12階の幽霊[*] 1/2(Nibunnnoiti[*] ボイス母[*] ロボトミー[*]

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