[コメント] 成功の甘き香り(1957/米)
リアルタイムでは駄作にされても、時代が変わると名作に変わることもある。
**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。
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これが公開された時はさほどヒットせず、批評家受けもしなかったそうなのだが、時間が経つにつれて再評価の機運が高まり、現在では名作の一つに数えられるという、ちょっと不思議な作品である。
その理由を考えるに、この当時では本作のテーマが嫌悪感を持たれたためかと思われる。
今でこそバックステージものは一つの映画ジャンルとして確立されているが、華やかな世界の裏側を見ることはのぞき見趣味のようなイメージがあって無粋さを感じさせるもの。
そして何より、自分の気に入らない奴を追い落とすために無実の人間を「アカ」呼ばわりしてしまうことがある。当時のアメリカは共産主義に対して過剰なほどの恐怖心を持っており、ハリウッドにもレッド・パージ旋風が吹き荒れていた。そして人を共産主義者として告発するのはとても簡単だった。碌々調べられもせず、「アカだ」とされたら社会的に抹殺できてしまう。
本作はそれを仕事にしている人間を描いたもののため、当時の観客はとても嫌な思いをしたのではないかと推測する。だから受けが悪かったのだろう。
しかし時代が降り、それが過去のものになっていくと、逆にこれは当時の世相を反映した貴重な映像になっていく。
実際にこんな時代があり、犯罪者が簡単に作られていったのだという過去の反省として本作は評価されるべきものとなったのだ。
こういう作品こそ貴重である。
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