[コメント] 橋(1959/独)
ちりばめられたシュールなギミックは全て、これが戦場なの呆れるねという発見の驚嘆と連結されており、それに気付いたときはもう遅いという意味でとてもリアル。
**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。
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映画は本作に軍指導部のミスをふたつ置いているのだろう。ひとつは少年兵の召集。クライマックスの米兵の「幼稚園児とは戦わない」はここに係る。
もうひとつは、破壊予定の橋の守備に未熟兵である彼等を形式的に当たらせただけなのに、偶然に上官が殺されて、少年兵たちは本気で橋を守ってしまったこと。精神的にひ弱な彼等の悲喜劇は無惨なものだ。
ただ、もうひとつの齟齬感が残るのは、このふたつが絶対的に噛み合っていないせいだと思う。少年兵でもこんな間抜けな指揮下でない最前線では別の戦闘があり得た、と考えることもできるから。
いったい、外国映画の兵士はすぐに戦場へ向かう。さんざ虐められてから出発する日本軍のほうが真面なのじゃないかと思われるほど即興で兵隊になるのだ。少年兵じゃなくてもこんなもんでよく戦えるものだと驚いてしまう。本作での驚きもまたこれを補強される類のものだった。
登場人物を覚える労力は並大抵ではないが判るとなお愉しめ、これは二度三度の鑑賞用。「爆弾落とすなら算数の時間に」などという序盤のブラック・ユーモアが生々しく、戦場に行くから時計を返せと云われて失望する真面目な女の子が印象に残る。インダストリアル・ノイズな音楽も素晴らしく、元祖クラウト・ロックの趣がある。
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