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[コメント] ヘドウィグ・アンド・アングリーインチ(2001/米)

話題のハデな作りは措いておいて、まず、プラトンの「饗宴」を下敷きにし、ベルリンの壁とその崩壊を絡めて、分断と喪失感、完全性への希求を骨子とした物語として、面白かったデス。
ぐるぐる

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

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ただ、後半は意あって力足らず。アリストパネス説(愛の起源)までは最高に楽しいけど、ソクラテス大先生の御高説の段になると、ちょっと未消化かも。やはり「真の善」は遠いのか!?

というのも、物語の後半でトミーの話が前面に出過ぎて、夫であるイツハク(女性が演じている!)とヘドウィグの関係の描き方が、どうにもすっきりしない。イツハクはもう少し重要な意味を持っている存在だと思うんだが。そのため、ヘドウィッグが「分断」印に替えて「完全性」印を貼り付け、裸で歩いてゆく象徴的なラスト・シーンが活きてこないように思われた。

音楽は、デイヴィド・ボウイー、あるいはパティ・スミスのオフ・ブロードウェイ式解釈(なんてたってヴォーカル最重点主義とか)としては非常に上出来で、その点では『ロッキー・ホラー・ショー』に比肩するレベルだと思った。

たとえば、歌詞の中で「乾杯」を捧げられていたパティ(ラベルじゃなくてスミスだろうな、やっぱり)、ティナ(ターナー)、ヨーコ(オノ)、アリサ(フランクリン)、ノーナ(ヘンドリクス・・・だよね?)、それにニコ、といった女性アーティストは、個人的にも好きな人ばかりなので、そういう趣味的な部分でついつい点数が甘くなっちゃいますです。

(評価:★4)

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