[コメント] ピアニスト(2001/仏=オーストリア)
映画を見終った人むけのレビューです。
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結局、中年になるまで恋愛を経験できなかった(してこなかった)女が、あのような倒錯気味の性癖に囚われていくのはなんとなく分かる。だが問題だったのは、性癖の内容そのものではなくて、その性癖を相手に表現する、伝える手段が未熟だったって事だ。これが若い頃から恋愛をしてきていれば、最初はノーマルにいっといて頃合いを見てから徐々にアブノーマルへと段階を踏んでいけば、さほど大事には至らないだろう。カップルによっては更なる愛に弾みがつくかもしれない。やっぱ物事には順序・手順ってものが必要。時にはそれを飛び越しての成功事例もあるかもしれないが、そんなの稀だろう。まあ、そこが恋愛スキルに乏しかった彼女の悲劇なんだろう。よくよく考えてみれば特殊なことではないんだな。
ラスト、瞬時に鬼の形相で自分の胸にナイフを突き立てる主人公。たしかに怖い顔だったが、それまでのピアニスト(芸術家)という常に毅然とした表情や態度を要求された世界からの解放と見て取れて、俺的には気分の悪い終わり方ではなかった。良くも悪くもくすぶってた感情の表出には第三者ながら「それだよそれ」と。変な例かもしれないが小学校の頃とかにいつも黙っていたいじめられっ子が、ある時意を決したのか、いじめに対してそいつなりにとる反発ポーズ、みたいな。いじめっ子でもいじめられっ子でもなかった俺(第三者)からの目でね。いじめっ子軍団を止める勇気は無かったが、そういういじめられっ子が反旗を翻す様をどこか応援していた。(ズりぃか?)
また、結果的に、二兎を追って一兎を得ずだったとも言える。長年の才能あるピアノに加え、念願の尺八に手を出すもあえなく失敗。人生やっぱ欲張っちゃダメだね。(冗談!)
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