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[コメント] 化粧師(2001/日)

画面の色使いは極めて繊細だが、ストーリー展開は極めてずさんな作品。
ゆーこ and One thing

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







 この作品、無学だったのに文字を覚えて女優になろうとする時子(池脇千鶴)が登場したり、「青鞜」という文字が出てくるところを見ると、「女性の自由」というようなところを語りたいんでしょうね。

 心を解き放ち、自分が変わるための助走になるものとして「化粧」を題材に持ってくるセンスは斬新だと思います。邦画が得意とする、繊細な色彩感覚を生かした美術のセンスも秀逸です。

 でも、ストーリーの主たるテーマである「化粧の本当の意味」に焦点は集中していません。あれもこれも描こうとして、あれもこれも中途半端になっています。

 小三馬の秘密や時子の育った場所の話なんて、正直いって盛り込まない方がよかったと思います。「化粧で明らかに人が変わった」演出をされているのは岸本加世子だけ。

 この作品のテーマに忠実に沿った形でストーリーを組み立てるなら、筋書きをもっと凝縮し、時子(自由へと羽ばたく女性)と純江(自由を捨てる女性)を対比させるような形で演出を行ったら、ずっと出来のいい作品に仕上がったのではと思います。

(評価:★3)

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