映画の中でも「人間は自然治癒力がある」って言ってたじゃん・・。

あれだけ悲惨な過去が明らかにされちゃうと、話の流れからも元には戻せない感じになっちゃってすごくつらかった。『カッコーの巣の上で』ならサブ・キャラが活躍して主人公を助けるのに。病院での仲間たちとのエピソードが生きてこないよ。 結果として彼は周りの人達を大いに助けたんだから、自分だって少しは癒されたはず。なのにあの結末では救いがない。

途中からジェフ・ブリッジスに感情移入して見ていたので、彼の立場から見ていれば辻褄が合わなくてもプロートは疑いなく人間ポーター。ただ、それを掘り下げちゃうとベタになっちゃうし、最後の最後で星空を見上げる心温まるシーンに繋がらないから、あの正体が判らない曖昧さは仕方ないかもしれない。

スペイシーはもともと上手いという先入観通りに上手かったので驚かないが、珍しくインテリ役のブリッジスの表情に惹きつけられた。昔は彼も異星人だったし！（しかも地球人の女を妊娠させてるし）『ザ・コンテンダー』あたりから豊かな人間性もった大人の役にはまってきたかんじ。

あの何ともいえない温かい余韻のラストを活かすためにも、「人間ポーター」を救って欲しかった。あるいはK-PAX星人として死なせてあげるとか・・。

重大なトラウマによる記憶喪失を裏付けるために、とってつけたかのような悲惨な事件がこのファンタジーには不釣合い。おかげでPG-13だし。それらを差し引いてもなんだか癒されたので４点。