[コメント] 害虫(2002/日)
ナンバーガールと草野正宗。〔3.5〕
**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。
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すりぬけていくものをすりぬけていくままに、うしなわれていくものをうしなわれていくままに。
少女の走る細い足のスピードとその弱さ、それと対比的に轟音を唸らせながら暴力的に走り抜けていく車のスピードとその強さ。少女の<加速>は細い足から車のそれへと一足飛び。中間がない。またこの映画には烈しいリズムと朧げなメロディのふたつが、相反する少女の内面の衝動と重ね合わされるかのように共存している。ナンバーガールのギターがかき鳴らすリズムと櫛引綾香が歌う草野正宗の手によるメロディ。そのリズムとメロディは映画の中でそれとなくリフレインされて、かたやある一点で声にならない少女の激情を代行するかのごとく爆発し、かたやエンドロールの中で終わっていく少女時代を悼むかのように少女自身が口ずさむ。それにくわえて、何気ないSEでも少女の内面の変容の有り様をそつなく表現している。ジェット機の爆音や、唸りを増していく車の走行音…。面白い。
抽象的に実感を表現すれば、見ていて存在が湧き立ってくるような感動がある。なぜか。臆面もなく言えば、それが映画だからだ。
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