[コメント] トンネル(2001/独)
映画を見終った人むけのレビューです。
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決して悪い映画じゃない。むしろ良い映画。個人それぞれのエピソードを描きつつ、きちんとトンネル救出(脱出)と秘密の厳守と、密告・・・。
裏切りや信頼やら友情やら愛などが複雑に交錯しつつそして此処のエピソードをしっかりさせているっていうところを見ると脚本も結構いいはずだ。
そして要所でしっかり盛り上げる音楽といい、悪いところは探してもあまり見当たらない(突っ込みたいところは少々あったけど)
しかし何かが足りない。
一つの、ほんの何cmかの壁なのに見殺ししなければならない現実。愛する人を見殺し(見殺し?)するという、悲劇。
あのシーンのやるせなさはかなりのものだった。
あっ、わかった。この映画にたりないのはサスペンスフルな展開でも個々のエピソードでもない、「やるせなさ」なんだ。
東西分断。ベルリンの壁。脱出(=亡命?)
そして「トンネル」の脱出。
最後の「トンネル」は関係ないけど、上の3つだけだとどこか『JSA』に似てないか?
しかもJSA(=共同警備区域)の場合は壁ではなく、厚さほんの何cmかで、高さ何cmのコンクリートのみで区切られている。
そしてあの橋を新兵が渡るシーン。国境(国境なんて優しいものではない)を越える勇気。そしてそれを越えた友情。
あれだけ近いのに、同じ人種で元は同じ国民だった人間が撃ちあい、殺し合う現実。なんてやるせない。
確かに終わり方の違いがある。『トンネル』のハッピーエンドに対して『JSA』の悲劇的なTHE END
そりゃ悲劇の方がやるせなさが増すだろうが、『トンネル』の中にあったやるせなさはほんの少しだったような気がする。
他は「自殺」とかそういう感じ(確かに分断から脱出してそれが原因で取り調べをうけての自殺だが)の、「分断」が遠いやるせなさを感じる。
直接のやるせなさが少ない気がする。
んー、なんか難しい。
まぁ、「直接」じゃないって言っても、結局は「直接」なんだが・・・・。
あー、けど、やるせなさを感じなかった。なんかトンネル掘りの頑張りと、ハッピーエンドと愛の物語ばっかだった。
まぁそれはそれでいい話に違いはないんだけど・・・。なんかたりねぇ・・・。
総合・・・3☆☆☆
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