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[コメント] アパッチ(1990/米)

「ア〜イア〜ムグレイテストォ〜」とか歌いながらゲシゲシ敵を破壊する。これがもし、本物の地上掃討であんな事言われながら無抵抗に殺される人間はつくづく救われないだろうな。
甘崎庵

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







 ニコラス=ケイジはどうしても好きになれない。いや、良い作品もあるんだけど、何でこの人軽ぶるかね?そこが大嫌い。

 更にこの作品、私にとっては最低のマイナス評価作品『トップガン』のスタッフが作ったと言うだけあって、もはや怒りを通り越し、笑うしかない出来。嫌いなケイジに嫌いなスタッフ。加えてベタベタのストーリー。これで何を評価せよというのだ?

 確かにヘリコプターのアクションだけは結構見応えがあった。でもよく考えてみたら、いくら戦闘ヘリとは言え、地上掃討用の武装ヘリで戦闘機と互角以上に渡り合うストーリーは、凄まじく無理がないか?

 それと、利き目の話で落ち込む姿が描かれるのだが(なんだ、『トップガン』とまるで同じじゃん)、あれってパイロットになる時の適性試験で分からないもんなの?それにあんな素人訓練で治す等という危険きわまりないことするより、パイロット席を左目用の暗視装置に換装すればそれで済む問題じゃない?

 更に言わせてもらう。1990年というと東西冷戦も雪解けムードに溢れていた。そんなもので、敵を作るのに苦労していた時代らしく、ここでは“南米の麻薬組織”を敵に仕上げてるけど、説得力無し。敵の組織の事がパイロットには何も知らされてない作戦は、別段敵は何だって良かったと言うことを暴露してるだけ。

 唯一見応えのある戦闘シーンだが、この作品は明らかにもの凄い勘違いをしてる。同じヘリコプターを用いた映画『ブルーサンダー』と較べてみるとよく分かるのだが、同じヘリコプターを使っていながら、あの映画と較べてヘリの魅力が明らかに乏しいのだ。これは単純な話で、ヘリコプターの魅せ方と言うものをスタッフがまるで分かっていないだけ。戦闘機と較べ、空中戦において地味なヘリコプターが本当に迫力を増すのは地上との対比あってこそ。具体的には町の中を飛んでこそ、本当のヘリコプターの魅力が出る。逃げまどう人々や、対空放火をかいくぐって地上を破壊する圧倒的な力。その描写が必要なんだよ。せめて建物の間を悠々と遊弋する姿がちゃんとあれば、見応えも増したのに、そのことをスタッフは何も分かっちゃいない。よりによって対比物のない砂漠なんかで撮影してるし、あまつさえ馬鹿げた戦闘機とのドッグファイトなんぞやらかしてる。スタッフは「前に戦闘機やってヒットしたから、今度はヘリ使って同じもの作ろう」と考えたに違いない。

 人間ドラマはクズで、戦闘シーンは輪をかけてクズだ。それなのに友人を誘って観に行って、帰りに興奮気味に話し合ったと言う極めて嫌な記憶が…あの時はヘリのアクションばかり見てたから。と思いたい。

 だからこそ、忘れ去りたい映画だったのに、つい思い出してしまい、こんなレビューを書いてしまった自分…書いてる内に自分自身に腹が立ってきた!

(評価:★1)

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