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[コメント] 革命前夜(1964/伊)

パルムの僧院』をベルトルッチ監督の解釈を踏まえて描いた作品。監督はこの年22歳だったそうだが、どうやら自伝的な部分が強くあるらしく、韜晦の嵐が画面全体で吹き荒れているように思えてならない。
甘崎庵

**ネタバレ注意**
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 主人公は革命を夢見て、タブーを殊更無視してみせるのだが、結局それはどこに持っていって良いか分からぬ自己の内面の矛盾を「革命」の夢に託しているだけ。「革命前夜」というのは、青年期そのものを示すものとして描かれているのだろう。最後に身分相応にブルジョアの娘と結婚するファブリツィオは、革命前夜のまま時を止める。一方の叔母ジーナは精神的な危機に直面しているのだが、それは最終的に無視されて終わる。「彼女の革命はこれからだ」と言うことが言いたかったのだろうか?その辺がベルトルッチ風なのかな?

 又、この映画は実験的なカメラワークがふんだんに用いられていて、古典的な映画ではタブーとされるような場面がいくつも出てくるが(ジーナの独白で彼女のバストアップだけを固定カメラで描くとか、結構そう言うのが多い)。その辺の奔放な映像表現はフランスのヌーヴェルバーグを思わせて面白し。

 後に超一流監督として認められる事になるベルトルッチは、こういう作品を通して自らを培っていったのだろう。

(評価:★4)

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このコメントを気に入った人達 (2 人)ハム[*] ina

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