[コメント] メン・イン・ブラック2(2002/米)
前作において、Kを始めとするMIBの奇天烈な面々や更に奇天烈なエイリアン達から上質の笑いを引き出せたのは、それらを、J=ルーキーの視線を通して見せていたから。J=観客の常識と、Kの常識、宇宙人の常識、おのおののギャップこそが、安っぽくなりそうな小ネタの数々を、新鮮なものへと転化させていた。しかし、それも、ストーリーの骨子を安直な対決ものとし、極めて下世話なボスキャラを配したことで、台無しにしてしまっていた。少なくとも、自分はその様に感じた。なおかつ、JとKが時折垣間見せる他の登場人物達を蔑ろにするような天動説的振る舞いが、笑いを取るために、世界観を一定の枠内に甘んじさせていたようにも感じた。
で、その異化により捏造されるギャップ、つまり宇宙人=異邦人という捉え方の面白さが活かされたまま、愚直な対決ものストーリーが改善されていることを期待して見に行ったのだが…
観客視線の代替であったJは、もはやルーキーではない。ベテラン通り越して、宇宙人と同等の所まで行ってしまっていた。予想できたことではあったが、Jの担っていた役割を継承する者を配置する配慮がなかったのにはがっかりだ。K? 確かに、K登場後数分は、JとKを置換し、ルーキー視点の顕在化を図ろうとしていたようにも見えた。その数分は笑いも取っていた。しかし、Kは瞬く間にスーパーマンに戻ってしまった。その後、観客は置き去りだ。笑わせようとしてくれているのが解っても笑えない。実際、みんな笑いが引きつっていたように、劇場で感じた。
さらに、対決ものという最も変えて欲しかった骨組みが顕在、しかも、そこに何の工夫もなく色仕掛けで責めようとは…
『バイオハザード』やってる人は解ってくれるんじゃないかと思うが、無限に増殖するもんだとか、ニョロニョロしたもんてのは、駄目だし寸前、アイデアの糞詰まり状態で吐き出されてくる代物なんです。
ただララ・フリン・ボイルの熟女なお色気は嫌いじゃないです。
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