[コメント] トータル・フィアーズ(2002/米)
核を扱っているのに、単なるサスペンスで終わっている。そのサスペンスも核の「恐怖」が甘いために台無しに。
**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。
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安全装置が働いている核爆弾を運んだだけで被爆したのに対して、爆心地に装備無しで近づいたライアンたちがピンピンしているのが核に対する認識の甘さが有り有り。
原爆の破壊力をしっかり描いて、その後の世界も凄惨極めたものにしなかったから、尚更その後の米露の駆け引きに「恐怖」によるハラハラ・ドキドキの緊張感を感じさせられなかった。
日本人なら被爆国ゆえ、その甘い描写に脱力してしまうものも多いだろうし、ましてや被爆経験のないアメリカを始め諸外国の方々がこの映画を観るに及んで、核の「恐怖」を軽く捕らえてしまうのが何より怖い。キノコ雲と血だらけの被爆者数名だけで、お前等ヒロシマ・ナガサキに落とした原爆の被害が済んだと思ったら大間違いだぞ・・・と。
「グランド・ゼロ」への配慮とも解るが、むしろ「グランド・ゼロ」やそれを上回る悲劇をくり返さない為にも、核の「恐怖」を訴えるべきだった。
どうせなら原爆の「恐怖」を全面に出して核抑止に役立てよ。インパクトの有る被爆シーンで心に残せ!
「映画で世界を変えてやるんだ!」と言ったフランシス・フォード・コッポラの様な志しを持てよ!
そこがこの映画で一番足りないポイントだった事は間違いはない。核を扱うのに単なるサスペンスでは済まされないはずだ。
加えて、ライアンの言葉だけで戦争を回避出来たというのが何とも呆気無いので、サスペンスとしても失格。
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