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[コメント] ズーランダー(2001/独=米=豪)

最初は全然受け入れられなかったけど、今になって考えると、ほんとにいろんな要素を詰め込みつつ、大変バランスの取れた作品だったと思える。
甘崎庵

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







 今まで結構たくさんの映画を観てきたものだが、その中で最初観たとき「なんだこりゃ?」だったものが、後になって、「ああ、あれはこんなに面白いものだったんだな」と思えるようになった作品がいくつかある。昔のいわゆる名作と呼ばれたものにそれが散見されるが、最近の作品の中ではこれが一番かな?

 正直初見の感想は、一言「気持ち悪い」だったが、たまたまこれについて話をしている中に入って話聞いてる内、「ひょっとして俺の考え間違ってた?」と思い直し、今となっては、大好きなコメディの一本になってる。そんな意味で私には忘れられない作品でもある。

 最初私が受け入れられなかったのは、耽美系作品が苦手だったから、というそれだけのことで、その部分のコミカル描写がどうにも受け入れられないと思えていたが、改めて考えてみると、実際にはかなり構成が上手く、意外な深さもあることねも気がついた。

 まず設定だが、芸能人をスパイとして送り込むというやり方は、実は古来から当たり前に行われてきたと言う。日本でも「日本書紀」には日本武尊のエピソードのクライマックスは女装して舞い踊った武尊がクマソの王を打ち取るところだし、世界的な古典でも数多くこれらの描写が見られる。権力者の懐に飛び込める存在として、芸能人は重宝されていたのだ。それに度々小説などでもこのネタは使われている。

 その前提あってこそ本作は成立する。この作品の世界においては、モデル業界ではそれは公然の秘密となっている。そしてトップモデルであるはずの主人公がその常識を全く理解してなかったというところから、話がずれていき、そこに主人公のコンプレックスなんかもちりばめて、上手くまとめ上げてくれた。最終的にはコンプレックスを克服して、人間的にも成長するという形にして、あたかもスポーツもののような爽やかな終わり方をする。 

(評価:★4)

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