[コメント] ターミネーター3(2003/米)
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1作目はテレビ放映で観て、その面白さに触れ、2作目は劇場に足を運んだ『ターミネーター』(1984)シリーズも本作で3作目。監督はこれまでのジェームズ=キャメロンからジョナサン=モストウに代わったと言うことで、やや危惧もあったが、充分に面白い作品に仕上がっている。エンターテイメント性で言うなら良作。続編と言うことで考えるなら、充分な出来と言っていいだろう。
ネタばれになってしまうが、未来の運命を潰すべく送り込まれた刺客を消し去ることで未来の希望を残した1作目、未来そのものを改変してしまった2作目が先にあって、それで3作目の本作はどうかというと、1作目と同様、未来を悪い方向に変えることなく終わらせたと言うことになる。ただ、本作の場合は1作目のラストで暗示されていた希望は殆ど感じさせることなく、悲惨な未来が今始まった。と言う救いのないラストで幕を閉じる。まあ、これも一種のオリジナリティなんだろう。
続編の常でどうしても前2作と較べてしまうのだが、今回はなんというか、主人公側の意志のなさがあまりにも強調されすぎって印象を受けてしまう。何をしたら良いのか、その辺の意志が感じられず、ただ状況に流されっぱなし(1のコナーも最初はそうだけど、あれの場合話が進むに従って凛々しくなってたよな)。
そのためか、今ひとつカタルシスが感じられないまま終わってしまった。ストーリー上仕方ないのかな?
それでキャラの立ち方が問題となるが、新たな主人公スタールはちょっと魅力不足っぽいか?その分2体のターミネーターの戦いに重点が置かれてるって事なのだが(いや、主人公はこっちか?)、これも前作と較べてしまうと、確かに派手にはなっているが意外性があまりない。
ストーリーそのものも全体的につなぎの物語っぽくなってしまったのも確か。ラストの意外さをいかに強調するか。と言う観点から見るんだったら、これもありかも知れないけど、いくつかの謎はほったらかしのままだし、不完全燃焼な部分が多すぎ。これで続編が作られなかったら怒るよ。(笑)
ところでちょっと前にモストウ監督のインタビュー記事で「今のハリウッドは香港アクションに席巻されている。私は敢えてアメリカ流のアクションを目指す」ってな事を言っていたが、一体どこが違うのかと考えてみると、香港アクションってのは、銃をかわすほど生身の肉体の方が速いこと、ワイヤー・アクションの多用により、動きが曲線的になっており、時として宙を飛んだりもすること。等が挙げられるだろう…考えてみると、これは本質的に『ターミネーター』に似合わないと言うことに気付いた。『ターミネーター』の魅力と言うと、目的に向かってひたすらまっすぐに突き進み、どんな状況にあっても(文字通り)力押しで押し切る。銃の多用…非常に直線的なところが本作の魅力なんだから。っていうか、そうとしか作れない作品だからこそ、監督もそこまで断言できるんだろうな。
少なくとも最後まで飽きなかったので、今年出たアクション作では、私にとっては当たりの作品だ。
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