SABU映画（に限りはしないが）は「見た事の無い映画」という反則ギリギリの可能性を模索している所も魅力の一つと思うのだが、今回の「幽霊」とかはちょっと頂けない感触があった。展開に御都合とか穴があっても軽く笑って済ませれば良かったのだが、ああいう風に幽霊なんかを安易に出されるとギリギリのラインから踏み出してしまっている感は否めなくなる。とは言え、アイディアはやはり面白く、映像も丁寧で好感だし、役者も良い顔ぶれだし、異例とも言える安直なハッピーエンドも悪くなく、見終わって爽やかだった。ただ良いだけに惜しい所も目立つ。個人的にはあと一歩物足りなかった。

まず、柴咲コウの薄っぺらいキャラは一体何なのだろうか・・・。そもそも、こんな事を言ってはファンに撲殺されかねないが、彼女って容姿も演技もイマイチのような・・・。立ってるだけとか歩いてるだけとかならそれなりに様になってるのだが、喋りだされるとかなり拍子抜け。

あと、寺島進のライブハウスのシーン、結構人気みたいですが、個人的には微妙な所。アイディアは面白いし、寺島さんも頑張っていたとは思うのですが、どうもノリノリになれるほどカッコイイライブになっていない気がするんですよねぇ。セリフに無理あるというか、部分部分は響くんだけど、全体としては言わされてるセリフという寒い感じがして・・・。直前の「命を粗末にすんじゃねぇ！」と叫びながら蹴りまくるシーンが最高だっただけに惜しい。

愛ゆえか、うっかり辛口になってしまいましたが、何だかんだで面白い映画です。やはりこの監督は今後も目が離せない。