[コメント] 至福のとき(2001/中国)
映画を見終った人むけのレビューです。
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無職男が出会ったお見合い相手の連れ子の盲目の少女の体験する一時の至福の時を描いた映画。
主人公チャオがお見合いで知り合った女性の連れ子の盲目の少女ウー・インの按摩の才能を見出し、ウー・インに店と作ると約束してしまったために、仲間と協力して按摩店を開こうしたが、予算的な都合から店を作れず、ウー・インとの約束を破れずに、閉鎖された工場を按摩室に改造して偽札を作り、仲間たちが順番に客のふりをしながら、ウー・インに嘘だと悟られぬように偽の按摩店でウー・インを働かせる展開で、チャオたちのつく嘘を途中から知り、自分を喜ばせようとするために必死に嘘を貫き通すチャオたちの姿に心を痛めたウー・インが彼らを頼らずに自立しようとする成長が描かれている。
ウー・インが彼らの嘘に気づきながらも彼らの嘘を怒らずに、最後にはテープで偽按摩室での出来事を至福の時だったいうところは彼女の純粋さや優しさが伝わる展開で感動的だったが、それにもかかわらずこの作品があまり感動的でなかったのは、映画の中で起こる出来事が皆チャオの嘘から始まっているからである。
そもそも序盤から自分が無職であることを偽ってお見合いをし、お見合い相手に連れ子のウー・インの仕事口を探すことを頼まれ、成り行き上ウー・インに嘘をつかなければいけないというところからして自業自得な展開で、それなのにこの作品はウー・インのために嘘をつき続けるチャオの姿を感動的に描こうとするから返って感動しにくくなってしまう。お見合い相手に無職であった隠していたことを罵倒され、逆ギレするチャオを観ているとなんて図々しい奴なんだと思ってしまう。しかも、最後にはチャオが事故に遭い、今までの彼のついた悪い嘘も皆正当化されたような見せ方になってしまうのも気になる。
チャオたちの嘘にも怒らずに善意だと受け取り感謝するウー・インの描き方にはいいものがあったが、チャオの視点から描いた映画としては感動味が薄く、あまり評価できない。
役者としてはウー・イン役のドン・ジエはスレンダーな体系ながら、少女っぽさを壊さずに純情で心優しい少女を演じているところはなかなかよかった。
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