[コメント] ブラッド・ワーク(2002/米)
映画を見終った人むけのレビューです。
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俳優としてのみならず監督としてもすっかり有名になったイーストウッドは、特に監督作として選ぶのはストレートではなく何かしら捻った作品が多い。しっかりエンターテインメントはしているのだが、設定的にちょっと特徴があったり、物語をストレートにしなかったり。その辺のケレン味こそがイーストウッドたらしめているのだろう。
本作も『ダーティハリー』(1971)的な展開を期待していたら、なんとも不思議な設定を持っていて、物語はかなり捻られ、アクション部分よりも雰囲気で見せるタイプの作品に仕上げられていた(翌年の『ミスティック・リバー』(2003)にそれは継承されている)。
ただ、非常に面白い設定だし、物語展開ではあるが、それが十全に活かせたか?その点が問題だろう。
物語と設定の良さに対し、演出が妙に古くさい感じがするのだ。
根本的な問題として、イーストウッド自身が主役張るには老いすぎたのが最大の問題点。枯れた演技を要求されるならともかく、生々しい役柄だから無理がある。観ていて痛々しくなってくる。謎がどんどん明らかになっていく過程にしても、途中で大体物語が見えてしまうので、後半は消化していくと言った感じ。盛り上がりがやや中途半端。
…とは言え、改めて考えてみると、この手の作品演出って1970年代にイーストウッド主演映画で(特にレオーネとかシーゲルとか)よくやられていた方法っぽい。この時代に敢えて古い演出を使ってみたのも、あるいはイーストウッドの確信犯的演出だったのかも知れない。
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