[コメント] ベッカムに恋して(2002/英=独)
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コーチのジョーは、若いくせに理解力があって男前で凛々しくてすげぇなって見てたけど、唐突に「あっ、ジェスを好きなんだ」ってわかる辺りから、普通のおにいちゃんになっちゃった。そこであら?なんか中途半端だなと感じ始めた。 イギリスからアメリカにサッカーをしに行けると喜んでいるのもなんかピンとこなかった。プロとしてやるならアメリカしかないのだろうが、それがジェスの本当の夢なんだろうか?
この話は、「プロになれますからその先が幸せです、夢がかないました」という話ではないんじゃないのかな?そう考えると、なるほど原題の「Bend It Like Beckham」=ベッカムのように曲げて為し得ろ=規則・伝統を曲げてプロサッカー選手になる・・・ではないよね。サッカー選手になってはいけないなんて規則は描かれて無いんだもん。つまり、サッカーという目の前の現実的な夢をまず叶えて自信をつける事を足がかりに、ジョーと結婚する決意を固めて実行に移すということこそが、タイトルの本意ではないのかな。 そう考えると納得できる。ジュールズとの確執は心配ではあるけど。。。
そうなるとこれは恋愛映画だ。だけど、ほぼ全編サッカー映画として作られてる。だからアメリカに行ける、ヨカッタヨカッタと喜んでいるように見える。 そうじゃない。もともとジュールズのためにジョーがスカウトを呼んであっただけで、ジェスが自分でスカウトに積極的にアピールしたわけでも何でもない。そして、自分自身ではやっぱりあきらめてしまいかけた夢だったけど、トニーの助けや父親の理解のおかげでチャンスをモノにしただけ。
ジェス自身は才能はあるものの、本当はあまり自分自身で積極的に頑張っちゃいない。回りのやさしい、良い人たちに助けられて、それに乗っかったシンデレラストーリーの王道。だからスポーツもの大好きな俺だけど、あんまりピンとこなかった。頑張れジェス!って拳を握り締めるシーンも無かった。
ジェスが本当に頑張らなければいけないのは、インド人はインド人と結婚するものって伝統・規則を曲げて、「離れても愛は消えない」ということを、証明しなければいけないんだ。
最後のフリーキックで一瞬壁に親たちの姿が見える。あれはサッカー選手への夢を阻止してる壁ではなく、イギリス人といちゃつく事を頭から否定している人たちの壁。その壁を自分自身の力で越えることが出来た時こそが、ジェスの夢がかなう本当の幸せの時なのだよ。
そう思うとなんだかすっきりしてきた。だけど、スポーツ映画としても、恋愛映画としても中途半端になっちゃった。
1番好きなシーンは、空港にて姿の見えないベッカムにいつまでもハートお目目のトニーが我に返る瞬間が可愛らしかった。もう一回目線やらねぇかなって期待したんだけどな。
女性監督らしい細かな演出・小ネタは気が利いていました。
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