[コメント] 芝居道(1944/日)
最初に「撃ちてし止まむ」と出る頃の映画。続いて、五線譜に「東寶映画」の文字が回る。タイトル後のファーストカットは道頓堀の俯瞰カット。「道頓堀 明治廿七年」という字幕が出る。この見事な俯瞰カットで既に感激する。
人気沸騰中の若手役者・長谷川一夫を中心とする芸道ものだが、女義太夫の山田五十鈴との恋愛譚として収束させる。長谷川の師匠(興行主)が古川緑波。その娘が花井蘭子。先輩役者で進藤英太郎。ライバル興行主に志村喬。劇中「角、中」と呼ぶ箇所があるが、角座、中座のことか。ロッパらが角座。志村が中座だ。
花井が山田の家を訪ねて会話するシーン。花井の視線で山田が部屋を立って歩く動線を見せる、成瀬らしい見事な視線の演出がある。長谷川の芝居の場面(劇中劇)があまり無くて欲求不満、と思いながら見ていたが、終盤、花道で、笠に隠れたカットから始まる、素晴らしいクレーンショットが来て、もやもやが霧消し、スカッとする。道頓堀橋(戎橋)のセットが何度か映るが、川の側の料理屋(芝居茶屋)のセットも見事な出来だ。
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