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[コメント] WATARIDORI(2001/仏)

僕が観た安田成美がナレーションを担当している日本語版では、脚本と演出が久世光彦らしいので、ジャック・ペラン監督の意図にどこまで沿っているのかは分からないが、鳥の心情を擬人化して語るのが鬱陶しい。
煽尼采

堤幸彦のブログでこの久世の仕事を褒めているのを見て、改めて堤のダメさ加減を再確認させられた。第一、映画の、つまりは渡り鳥の旅の最初と最後を、一人の少年で結ぶというロマンチシズムが気に入らない。鳥は人間の子供などとは何の関わりも無い本能に駆られて飛んでいるだけなのだし、それを、眼差す側としての人間の妙なロマンで包み込んでしまうのはナルシスティックに過ぎる。鳥の視点から、大自然のみならず人間の産業的な営みをも眼下に見下ろす地球俯瞰は素晴らしいだけに、つまらない人間的な情緒など排してほしかった。本当は、一種類の渡り鳥の旅を最初から最後まで、ただ追っていった方がよかったはず。複数種の鳥の姿を断片的に紹介していく多彩さは却って、旅する鳥たちの鳥時間をこちらが感取する機会を奪う。

(評価:★3)

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