電話相談員の女性が相談者だったストーカー男に翻弄されていくうちに内に隠していた性的欲求を発散していく映画でストーリーは18禁もののエロチックな雰囲気だが描写自体はあまりエロチックな印象はなかった｡

ストーリー的には電話相談員の主人公りん子が家で密かに見せた自分の淫らな部分を盗撮した､謎のストーカー男が実は以前電話相談した男で彼にいいように翻弄される前半のストーリー展開は官能的な雰囲気を巧く出している｡またりん子をストーカーしていたカメラマン道郎が終盤でりん子が本当は胸を切除しなくてはならない重病なのに夫のために手術せずにいるのにそのことに気付かず平然と浮気をし母親の葬儀にも出席しない非情なりん子の夫の行動を目の当たりにし怒りのベクトルへと進むところも興味深い｡

ただ性の本能を見出されたりん子のエピソードが中盤以降かなりおざなりになり､後半からりん子の夫や道郎を軸にストーリーが展開するわけだが､りん子の夫や道郎にはりん子の時ほど細かくキャラ設定がされていないので今ひとつストーリーに入りづらく､前半のストーリーに比べると薄っぺらさを感じる｡これなら始めからりん子とりん子の夫､道夫の三角関係を軸にした愛憎劇を展開したほうがストーリー的にももっと印象に残ったように思う｡

それと傍から見るとりん子は別に浮気しているわけではないし､淫らな格好をしていたとはいえ自宅にいたところを盗撮されたのは立派な犯罪であって､夫や警察にでも相談すれば済む問題なのだから､道郎にいいように振り回される必要はなかったんじゃないのか｡後､いくらセックスレスに悩んでいたからといっても､妻が命に関わる重病を患っているのに無関心な上に自分の母親の通夜にも行かず浮気に明け暮れる夫というのも理解しがたい｡まあそういった点にリアリティを追求するとこの話は成立しなくなるので仕方ないところだが･･･｡