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[コメント] 紅いコーリャン(1987/中国)

つのだじろうの漫画のキャラみたいなコン・リーがとっても可愛い。赤い木綿の服がやぼったいけどいい。
G31

インドが原産の木綿は、むかし中国へは北方警備の武士の防寒服として伝わったために「太糸―厚地布」が、ヨーロッパ(イギリス)へは、防寒着としては毛織物(ウール)があったために、宮廷職人の織ったキャラコやモスリンが嗜好品として伝わったため、「細糸―薄地布」が伝播した、という川勝平太氏の講義を思い出した。

この「紅いコーリャン」のほかにも、『黄色い大地』などで雑巾みたいに厚ぼったい木綿の服を着た女の子を見ることが出来るが、やがて中国でも経済的に豊かになり、昔の習俗が忘れられ、欧米的な新しい価値観が浸透していくにつれて、このような映画が作られることはなくなっていくのだろう。

最近の、女にふられた男がストーカーと呼ばれるような行為をしたり、はては女を刺し殺したり(その逆もあり)、というニュースを聞くと、過度の恋愛幻想の普及は社会にとって害悪なのではないか、と思う。昔の人は、そういう事がわかっていたのだろう。今日も、東京・新橋駅前でミャンマー人の男が同国人の女を刺したというニュースが入った。交際を断られたのが犯行の動機だという・・・

もちろん中国でも、もともと共産主義を敷いているのだから、資本主義原理を導入せずとも古い価値観は滅び、欧米の価値観に取って代わられるのは時間の問題であろう。日本の周辺のアジアの国々が、いずれ経済成長を遂げるにつれ、日本の犯してきた過ちと同じ過ちを繰り返すことになるのかと思うと、なんだかうんざりしてくる。

映画も、我々から語り伝えるべき物語を奪ったのかもしれないが、こうした失われていく文化をノスタルジックに振り返るには、格好の手段だ。なにか矛盾を感じないわけではないが・・・

80点/100点 (2000/11/17記)

(評価:★4)

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