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[コメント] 芝居道(1944/日)

成瀬自身がこういう映画を嫌々撮ったのだとは思われない。だが型枠をなぞるだけのイージーさに流れた感がある。
G31

道徳家ぶった堅苦しさを弱冠感じるが、言っていることは至極まっとうだ。というか、こだわるべきは目先の結果ではなく、自らを律して貫けるかどうかだ、と言っているのだから、これをプロパガンダ映画と呼ぶにしても、むしろ敗北した後でこそジワジワと効果を発揮するタイプのそれだと言える。実際の日本人は、敗戦後いとも軽々に変節してしまったので、ここで描かれるような道徳観は所詮上っ面なものだった、ということなのかもしれない。しかし成瀬自身は一貫してこの手の感性を保持し続けた男だろう。要するに、どこから掛かっていっても崩れない堅牢な精神風土を築いて見える戦後の作品群と比べると、こういう価値観を表面的には歓迎したはずの世間に、表面的に迎合したように見えてしまう。

75/100(07/05/18記)

(評価:★3)

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