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[コメント] ラットレース(2001/カナダ=米)

グリシャムにリンドバーグ、ポールは冬になったらあの家へ。ピアスとブチュっで、"Driving the Heart"はチャラになるのか?
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**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

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文筆業の前は弁護士だった『ザ・ファーム/法律事務所』や『依頼人』の原作者ジョン・グリシャムの名前を借りてみたり、女性パイロットが"ワカリヤスイ"リンドバーグ読んでたり、キャシー・ベイツがあの『ミザリー』のアニーをパロってたり(コメント中の「ポール」はあのジェームズ・カーンの役名)・・・

ツイスター』思い出したり、『ギリーは首ったけ』思い出したり・・・そうだな、なんとなくファレリー兄弟っぽいな・・・あのナチネタや、列車にビタっもどっかで見た気がするし・・・とにかく、いろんな映画、アメリカ的文化のエッセンスを抽出して、手堅くドタバタにまとめた換骨奪胎『最終絶叫計画』的("Smiley Movie"?)。

でも、あの「心臓」エピソードは、笑えなかったとか興醒めしたとかというより、怒りを通り越して悲しくなった。米TVドラマ『E.R.』ファンで、医療系ドキュメンタリーもよく見るので、そこで度々取り上げられる臓器移植問題に敏感になっているし、極めて個人的な反応だろうけれど。大体、あのエピソードは、Jason Brownの"Driving the Heart"(*)という短編に原型がある気がする(コメディーではないが)。

この「心臓」エピソードに関しては、ジョン・ウォーターズファレリー兄弟のマイノリティー問題を笑いに昇華する性質・姿勢、その根底にある愛とは、明らかに違うと思う。別に臓器移植をタブーにするべきだとは思わないが、あの描き方は下品というより、愛がない。劇場内ではウケてる人も結構いたが、もし親戚にドナー待ちの方がいたら、あんなに笑えるものだろうかと思う。

コメディーに道徳観や倫理観を持ち出すのも興醒めかもしれないが、僕はあのシーンには不快感を覚えた。でも、昨日は終電寝過ごして一万円近くタクシー代払って帰宅したし(+_;)、今日は親と大喧嘩でクサクサしてたし(--メ)、だからちょっと笑ってスッキリしたくて、あんまし観るつもりのなかったこの『ラットレース』を観たから、その不快感を忘れようとガンバったさ。いやあ、なんで笑うのにガンバらにゃならんのよ・・・なトホホ感。

で、あのラストでしょ?Smash Mouth(=キスの意≒ブチュっ)出して、恵まれない子どもたちに寄付して、いやんいやんもピアスナカマでラヴラヴで、ハイみんなでダ〜イヴ、めでたしめでたし・・・ってさあ、どーよ。心臓グチャグチャにしといて、そんな取って付けたような愛で、チャラにされると思ってんのか!ってまだ根に持ってたりする。いやあ、やっぱりそれじゃ、納得できんな。つーか、そんなにあるなら昨日のタクシー代100ドルでいいからくれ!・・・ってそんな話じゃなかったな。

★2にしようかとも思ったけど、あの怒"金"髪天衝なエイミー・スマートキャシー・ベイツがグ〜だったし、まあ、あのエピソードまではクスリクスリ笑ったから★3にしとく。

[2.16.02/Cinema Route170]

*「The Best American Short Stories 1996」(Editor: Katrina Keniso)に収録

(評価:★3)

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