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[コメント] 寝ずの番(2005/日)

一晩故人の思い出を語りながら寝ずに明かすという特殊な時間。その見えざる圧力が「それも供養だから」という納得でハメを外させていく面白さ。
おーい粗茶

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







ゆえに一番面白いのは第1夜で、これは師匠のキャラだけに由るものではないと思う。 まあ、3夜あるからこそ、最後の台詞「またいつかの寝ずの番で」が生きてくるんだけど、正直成り行きがわかっちゃう2夜からは「またか」という気になるのが惜しいかも。ただ、その「またか」というがゆえのあほらしさが面白いってところもあるわけだけど。

個人的な好みでいえば、一晩に絞りこんで、その濃密な空気を描ききって欲しくもある。たとえば、盛り上がってそのうち三々五々していく飲みの席の情感なんかも描いてくれると良かったかな。『お葬式』の、みんなで屋根に登って景色を眺めるシーンのような、特殊な状況だからこそ起こりえるとりとめのないひと時の詩情というか。

でも、監督が、あえてそういう方向を避け、ペーソスで落とすという方法によらなかったのは、なんか大人の余裕を感じる。さすが芸人、本当に遊んだ人でないとこうは撮れないだろうという、育ちの力をまざまざ感じる。

育ちのありかたみたいな話で言うと、個人的に落語の艶笑話みたいのがどうも面白くないというのがあって、どうやら、ビートたけしが良く言っているのと同じで、私はどうも性がらみの下ネタは恥ずかしいという感覚があり、やるなら思い切って下品なものか、もっとナンセンスに転化させないとダメなたちらしい。「戦艦バージン号」なんていうのが全然面白いと思わない(岸部一徳の芝居は面白いけど)。これにツボなようならもっとこの作品を楽しめるんでしょう。そういうんで3点ということになっていると思います。

(評価:★3)

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