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[コメント] UDON(2006/日)

こっちでこういう心情を描いているなら、当然ここではこういう心情が描かれるべきなのに落ちていたり、とか。監督のサービス精神なのか、あれもこれもやりつくしたいと思うからなのか、ちょっと大盛りすぎ。
おーい粗茶

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







本作の流れを例えばこんなふうに分割してみた。

夢破れて帰国、古い仲間たちや小西真奈美、そして「うどん」と出会う「帰郷編」

麺通団結成と、うどんブームを巻き起こし疾走する彼らを描く「奮闘編」

宴の終わりと、仲間たちや父との別れ。そして自らうどんをうつことを決意する「再起編」

ふたたび集まった麺通団とともに父の味を再現復活させ、それによって父との和解を果たす「旅立ち編」。

そもそも内容が盛りだくさんだし、各編それぞれが独自の主題を持っていて、ある編はある編のアンチテーゼだったりするなどということから、一本の映画作品でやるよりも、数話に分かれたテレビドラマでやったほうが、この話の内容にはあっているように思う。

もしくは、あくまで一本の映画にこだわるのなら、このうちのいくつかの主題はもっと省略するべきだったように思う。例えば、ユースケと小西真奈美が出会うエピソード。霧の山道、熊との遭遇、森でさまよった末うどん屋にたどり着く、という、後から振り返るとそんなに濃密に書くようなことなんだろうか、と思う。それだったら、父のうどんの味をなかなか再現できなく奮闘している時、もっと父と話をすればよかったと述懐するような場面があったり、麺通団の面々が、かつての杵柄(きねづか)でユースケに協力し、だんだん父の幻の味に近づいていくくだり、ユースケの必死さとは別に彼らは彼らで、腕試し的な興奮を感じているような描写も欲しい。

「これはこの男の胃袋だ」といきなりのレントゲン写真で始まり、胃癌とわかるまでのエピソードをあっさりカットしてしまった黒澤監督の『生きる』を、誰だかが「これが映画だ」と言ったとかっていう話を聞いたことがあるけど、そういうところに2時間という時間、始まったら基本的にノンストップ、などという映画の構造的制約における定石というのがあるんだろう。

それはともかく、私が個人的に残念に感じたのは、鑑賞後「無性にうどんが食いたく」はならなかったことだ。これって案外「うどん」がドラマの小道具程度にしか扱われてないからじゃないかな? うどんそのものの描写もそうだし、麺通団の面々が食べ歩きする中で、うどんの味の違いについて語るような描写も少ない。せっかくうどんを扱っているんだから、少なくとも「かけ」と、ゆでてから水でしめない「釜あげ」と、出汁や具材の相性のうんちくくらいは聞いてみたいじゃない?

(評価:★3)

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