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[コメント] ラフ(2006/日)

登場人物の心にぽっかり空いた隙間に、熱い感情とそれを見せようとしないそっけなさの温度差に、描き込みの少ない背景に、パンチラに。あだち充は風を好んで描くマンガ家だと思うが、そういう世界はよく再現されていると思う。
おーい粗茶

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

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不安や緊張はもとより、あこがれ、片思い、嫉妬まで、心にざわざわと波紋が起きるように描くのがあだち作品の真骨頂だと思うが、主要登場人物には満遍なくそういう場面があって卒がない。虚空をみつめる横顔や、みぞおちの裏側あたりで壁にもたれかかる姿勢など、何度もあだち充のマンガを感じさせる構図も多かった。『タッチ』の映画化と比べると、原作をテキストどおりに追うのではなく、あだち作品の雰囲気を再現することに重点をおいているかのように思う。

物語を順序だてて語らない、そのあおりで一番わけがわからなくなっているのが、主人公とヒロインの恋愛感情だ。 どうして2人が惹かれあうのか?そりゃドラマの主人公とヒロインだからだろう? という以上の理由が、本作ではとてもつかみづらい。ここはもう少し「説明」が必要だったように思う。

それにしてもあだち作品のヒロインになぜ長澤まさみなんだろう? まるで似つかわしくない気がする。それでもそんなに不満の声があがらないところを見ると、完全無欠のマンガの美少女に、唯一本物の容姿で対抗できる美少女が彼女だからってことだろうか? …まあそれに違いない。

(評価:★3)

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