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[コメント] クレヨンしんちゃん 嵐を呼ぶモーレツ!オトナ帝国の逆襲(2001/日)

今回はどこかナチスのユダヤ人迫害を扱った戦争ドラマを思わせるような緊迫感のあるシーンがあって重みがある。
わっこ

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







クレヨンしんちゃん』の劇場版9作目。

今回の敵は70年代の世界観を再現したテーマパークで大人たちを洗脳して現代の日本を再び過去に変えようとする設定で、大人たちがいなくなった後の春日部で子供たちの不良グループがコンビニを占領したり、はたまた20世紀博からの刺客が取り残された子供たちを捕まえて連行するところなど、その描写は子供向けながらもどこかナチスのユダヤ人迫害を扱った戦争映画のような重みのある展開でとても緊迫感があった。

昭和テイストの設定を扱った作品というと、その懐かしさを楽しむ目的で取り入れる傾向が強いが、この作品は昭和のシーンで現代社会の批判を描きながらも、昭和の懐かしさを悪の侵略の手段として利用しているのが新鮮。昭和の暮らしが大人には懐かしくても、馴染みのない子供には楽しみがないというのも、今までありそうあまりなかった描写で面白かった。全体的に現代社会を批判していながらも、過去に囚われて現実を受け入れないということを痛烈に批判しているように思える。

見せ場となるシーンでも、普段あまり活躍することのないしんのすけの友達の風間君たちやひまわり、シロが中盤で協力して幼稚園バスを運転してカーチェイスを繰り広げるという『トイ・ストーリー2』ばりの活躍させているのも目新しさが感じられてよかった。また終盤にはしっかり野原一家の活躍も描かれており、全体的になかなか飽きさせない作り。

ただ、この作品は編集上の都合なのか、日本を昭和の世界に変えようとする敵集団イエスタディ・ワンス・モアの侵略がのっけからほぼ完了してしまっているので、ひろしやみさえたちの大人が20世紀博にのめり込んでいくうちに洗脳されていくという展開がかなり唐突で、徐々に昭和の思想に洗脳されていくという緊迫感があまり感じられなかったのが残念。せっかくかなり斬新な敵キャラ設定だっただけに、長くなってもよかったのでもっとじっくりと敵の侵略を描いて欲しかった。

それと中盤でせっかく普段活躍の少ない風間君たちを活躍させたのだから、彼らが敵に捕まった後も助け出して活躍させて欲しかった。

(評価:★4)

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このコメントを気に入った人達 (1 人)桂木京介

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