ストーリーはナンチャッテ・ハードボイルド。白黒映像に終始しているのはフィルム・ノワールへのオマージュ的なもの。話の展開もSFとしては手垢にまみれたネタ。上映時間も無駄に長い。パンフレットは2冊で1500円と無駄に高い。

　でもね、近未来のパリを白黒（とグレー）のモノトーンで丁寧に作り込んでいたり、近未来ガジェットも細かいところまで作り込んでいたり、映像的にはかなり頑張っている。

　技術の進化だけを確認するなら予告編で十分なんだが、7年かけてここまで作り上げたスタッフたちを今は静かに評価したい。同じくCGを多用したものの、しょっぱい合成で観る者を萎えさせた（好きな人もいるようだけど）『ゴッド・ディーバ』に比べれば遙かにマシだと私は思う。