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[コメント] LOVE SONG(2001/日)

アルバム「十七歳の地図」の初回プレスがわずか6000枚だったというのは、ファンの間では有名な話。[丸の内シャンゼリゼ]
Yasu

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







この映画が公開された2001年4月は、尾崎豊の没後ちょうど10年に当たる時期であった。尾崎はその死後も、他人の金儲けのためにその名前を使われ続けているミュージシャンである。この映画もあるいはその類かも知れないと思いつつ、しかしファンとしては一応観ておかなくてはと、映画館に足を運んだ。

映画の前半までは、その嫌な予感がほぼ当たっていた。8月も終わりに近付いた札幌で登場人物がまだ半袖の服を着ていたり、仲間由紀恵が列車で東京にやってくるシーンで、1987年にはまだなかった車両が京浜東北線を走っていたりなど、演出が細かなところでかなりいい加減。尾崎はこんなひどい映画のダシにされたのかと、内心憤慨していた。

それでも後半になって、ある程度良くなってきた。原沙知絵が出てくるあたりからである。伊藤英明の心の内面、また仲間由紀恵をうまく使った、彼を取り巻く人間関係の描写が冴え、見せるシーンが続く。

しかし、クライマックスが近くなったところで、伊藤英明が店のあった下北沢から自転車で通るのは、どう見ても築地か有明のあたり。設定がメチャクチャだ。ラストもなぜあのカットなのか理解できない。

結論。この作品は普通の映画として見るならばあまり大したことはない。それでも3点を付けたのは、尾崎と同時代を生きた人間なら分かる、夢と希望に生き、破れ、それでも夢を捨てられない若者の姿をそのまま描いているためである。私のように尾崎のファンならばもっとよく分かるはずだろう。結局、この映画を観たのは、尾崎のファンとしては少なくとも無駄ではなかったということらしい。

最後に一つ小ネタ。

初回プレスが6000枚(6000じゃなかったかも知れないが、1000枚単位であることは間違いない)云々という話には、尾崎本人がアルバムの発売日にレコードショップの店頭で自分のアルバムを見つけられなかったという逸話がある。

(評価:★3)

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