コメンテータ
ランキング
HELP

[コメント] 悪人(2010/日)

祐一を育ててくれた祖母は祐一が守りたいと思う大切な人ではなかったのか?
くーるみんと

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







ラストについては祐一(妻夫木聡)が光代(深津絵里)の首を絞めることで、 共犯の疑いを消して同時に祐一への想いも消すことで、光代の未来を守って あげたのかなあと解釈しています。

でも、祐一にとって育ててくれた祖母の房江(樹木希林)やその他の肉親は 守りたい大切な人ではなかったのでしょうか?

祐一に殺された佳乃(満島ひかり)の父親佳男(柄本明)が娘を山中に置き去り にした増尾(岡田将生)のあまりの態度にスパナで殴りかかろうとしますが、 結局スパナを投げ捨てその場を去ります。 たぶん、その時佳男には妻の里子(宮崎美子)の顔が浮かんだのではないでしょうか?

動機はどうであれ、相手がどんな人であっても、殺人は決してしてはいけないこと。 殺してしまった祐一と殺し(可能性として)をとどまった佳男の違いは守るべき人の 顔が浮かんだかどうかなのかなあと思います。

ラストで祐一は光代を守りたいと思って行動します。 もしかするとそういう感情自体、光代と出会ったことで初めて芽生えた感情なのかも しれません。

でも祖父の病院への送り迎えや近所の人の世話もしてあげているらしい祐一がなぜ あの行為に及ぶ前に身近にいる守るべき大切な人の顔が浮かばなかったのでしょうか。

祐一の肉親に対する本当の気持ちが映画ではよく分らないのですが、自首せずに女と 逃げ回ったためにTVで大々的に報道されるようになり、家族がどんなつらい目に逢って いるのか分らず、いくら光代を愛して守りたい気持ちがスクリーンからあふれていても、 よくよく考えてみると自分勝手だよなあと思ったりしたんですよ。そんな私も終盤では 泣いちゃいましたけど・・・

(評価:★5)

投票

このコメントを気に入った人達 (0 人)投票はまだありません

コメンテータ(コメントを公開している登録ユーザ)は他の人のコメントに投票ができます。なお、自分のものには投票できません。