最初に言っておくなら僕は結構楽しめた。この監督はラテン系なんだ。理屈じゃなく楽しいものは楽しいということを体で知っている。ただそれだけにそもそもこの手の映画は向いていない。

伏線を張り巡らせておいてその秘密がラストで一気に明らかになる、そんな展開には到底至らない。何故？という問いの答えは殆どがほったらかしのまま。設定としてはいろいろな辻褄合わせがあるであろう事は想像できる（例えば何故ハウルが案山子を城に入れなかったか）。しかし根本的に、一つ一つの伏線に答えを与えようという努力が全く感じられない。 見せ方の技法として疑問だったのはソフィーの顔の描写。途中でコロコロ変わるもんだからクライマックスで魔法が解けたときのインパクトが全く伝わらない。

やっぱりこの人にはわかりやすいテーマを語らせるべきであって、緻密な謎解きやミステリーは向いていない。