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[コメント] ラスト サムライ(2003/米=ニュージーランド=日)

それにしたってこれだけ日本人の老若男女が溢れんばかりに登場するアメリカ映画って初めて見た。
torinoshield

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







*微妙に『たそがれ清兵衛』のネタも入ってます

結構前にニューズ・ウィークの日本版で第二次世界大戦前から終結までの太平洋戦争中心の記事を集めた雑誌が出版された。これは貴重なもので(その割には人に貸しっぱなし)当時のアメリカ人の考えや心情がだんだん変わっていくのが読んでいてわかるので面白い。さながら勝元がオールグレンの日記を読みながら立場の違う(敵側の)人間考察を行うものに近いかもしれない。

人はおおよそ自分の立ち位置で物事を判断してしまうものだ。つい最近のアメリカとイラクの戦争も日本の立ち位置を中立というスタンスでアメリカ批判している人が多い。純粋にあの戦争を読み解くのであればフセイン側がどういっ た価値観であるとかどのように国を導こうとしているのか、といった考察が必然だ。どうもアメリカ側が圧倒的武力を持ってして正義を叫ぶのが気に入らない、という側面で語るのものが多くて「フセインとその取り巻きの基本思想、中東の人々の考え方」を理解しようとするものは少ない。

では、この映画はどうなのか?そのスタンスなのか?さながらフセイン側にとっ捕まった捕虜がイスラム教の奥深さに目覚めてフセイン側で戦ったが大敗(当たり前だが)、国連事務総長に涙の訴えといった内容とも取れる。そしてそれは日本だと太平洋戦争にも置き換えられるのだ(負け組の日本の実情など海外はおろか国内でも処理し切れていない)。

要するに武力が勝っている方が思想的にも正しいのか、少しは敗者の物の考え方も理解しようとしてみれば?って事を言いたいわけだよコレ。

アメリカ人でなくてもそうなんだが天皇、切腹、特攻などは摩訶不思議な価値観だろう。それを「こうなんじゃないか?」と積極的に理解しようと努めたアメリカ人スタッフと「惜しいところまではいってるが具体的にはこうだ」と修正した日本人スタッフには(本来政治で)あるべき姿を見せてもらった気がする。

太平洋戦争や中東戦争でコレやったら大騒ぎ(多分どっちからも叩かれる)なので敵味方の感情がないこの時代を選んだのではないだろうか?などと思ったり。

ところで問題は真田広之の扱いなんだよな。彼の『たそがれ清兵衛』の役があまりにも良かったのでその役柄の延長でやってくれ!と思ったよ。時代もほとんど一緒だしね。玉砕覚悟の真田にも宮沢りえがいるわけだよ。小さい娘も家で待ってるわけよ。そういう事情が侍達の背後に見えなかった。

あと最後のシーン。小雪が望遠のこっち(カメラ)に気が付いて涙を流す、トムは写さないほうがいい。

(評価:★4)

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